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【コラム】CBDを含有する歯磨き粉の可能性【口腔ケア、カンナビジオール】

CBDニュース・コラム

CBDを含有する歯磨き粉などについて考察した記事です。

歯科領域における大麻製品の可能性

歯科領域における大麻製品の可能性

虫歯や歯周病などの口の中の病気は有史以前から健康上の課題であり、人類はこれに対して長らく薬草を使うことで対応してきました。
ペパーミント、ローズマリー、タイム、ティーツリーなどと並び、大麻もまた口腔ケアに使用されていたようです。
この古くて新しい治療法には、抗生剤への耐性菌の出現や、合成化合物の副作用に対する懸念の高まりから、今再び注目が集まっています。

CBD入りの歯磨き粉は、以前より発売されていますが、今回はそれについての考察です。

・口腔ケア領域におけるCBD製品

昨今のCBDブームの影響は口腔ケア製品にも波及しており、ネット上ではCBD含有の歯磨き粉、マウスウォッシュ、オーラルスプレー、チューインガムからCBD配合の詰め物まで様々なプロダクトが市販されています。またアメリカや韓国では、独自のカンナビノイド配合の歯科口腔ケア用品の特許が複数出願されているようです。
これらは一見すると、CBD含有の石鹸やシャンプーなどと同じ一過性のブームによって消費されていくだけの製品のように思われますが、立ち止まって考えるとそれなりの存在意義があるようにも思えます。なぜなら一般的なCBDオイルも口腔粘膜からの投与が推奨されているからです。歯磨き粉にCBDを含有すると、皆さんが歯ブラシを咥えたままスマホをいじっている間にも、口腔粘膜からCBDの吸収は進みますし、何より摂取し忘れるということがないでしょう。意外に理に適った製品と言えるのかもしれません。

歯を磨きながらCBDを摂取できるというのは利点です。

朝昼晩と忘れずに摂取できます。

またCBDオイルの様に口から摂取するのがCBDの基本ですから大変理にかなっていると思います。

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・症状として期待されている領域

歯科口腔領域で最も一般的な症状で、かつCBDの効果が期待されるのは歯・口腔内の痛みではないかと考えられています。CBDなどのカンナビノイドには抗炎症作用があり、実際にCBDの最も一般的な用法は鎮痛です。歯の痛みに対しても有効なケースはあるでしょう。
しかし一方で、通常の炎症性疼痛だけならロキソニンなどが第一選択になるように思われます。実臨床の上で活用が期待されるのは、例えば口腔灼熱症候群などのある種の神経障害性疼痛ではないかと思われます。この治療には一般的に抗うつ薬などが使用されますが、効果は限定的です。現時点では人を対象とした研究成果は認められていませんが、その他の神経痛への有効性を考慮すると可能性のある領域です。

同じく守備範囲として広いのは虫歯です。カンナビノイドには抗菌作用があり、市販の歯磨き粉よりも優れた抗菌活性が認められるという研究成果がベルギーから報告されています。(詳しくは過去記事を参照ください)

またカンナビノイドが有する抗炎症作用・抗菌作用は、歯周病にも効果が期待されています。今後、人を対象とした臨床研究の実施が望まれる領域です。

理論上効果が期待され、症例報告が挙げられているのは口内炎の治療薬としての可能性です。マウスを使った動物実験では、CBDは抗癌剤(5-FU)による口内炎を改善する可能性が示されています。
また、CBDが口内炎を治癒するメカニズムについて、CMPK2を阻害することで炎症を抑制するなどの機序を明らかにする研究が行われています。

口のトラブルと言えば虫歯、歯周病です。

また特筆すべきは、口内炎です。

口内炎に悩まされている人には朗報?ということでしょうか。

さらに、潜在的なニーズが大きいのは歯科恐怖症の領域です。その有病率は人口の10%とも言われており、歯科へのアクセスを妨げています。CBDには抗不安作用が認められるため、施術前に摂取することで不安を和らげることができると考えられています。本邦では第三回臨床カンナビノイド学会で同内容についての演題が認められました。また海外のクリニックでも使用例があるようです。

より深刻な病態では、口腔癌の治療に役立つ可能性が考えられています。カンナビノイドには抗腫瘍作用が認められ、一部の口腔がんではCB1、CB2受容体の発現が増加しています。そのため治療ターゲットとして期待されているようです。
抗がん作用に加えて、鎮痛、食欲増進、抗不安、安眠作用などが伴うことを考えると、口腔がんに限らずがん治療全般に今後、より一層活用されていくことが予想されます。

歯科領域は医科領域と比較し自由診療が普及しているため、標準医療の診療機関におけるCBDなどのカンナビノイド活用のハードルは比較的低いと言えるかもしれません。今後の普及状況について注目していきたいと思います。

執筆:正高佑志(医師・Green Zone Japan代表理事)

抗腫瘍作用に関する効能も研究されているようです。

がんが減れば、それは素晴らしいことです。

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